書籍名 | マレーシアにおける農業開発とアグリビジネス |
---|---|
副題 | 輸出指向型開発の光と影 |
著者 |
岩佐和幸著 |
判型 | A5判 |
頁数 | 266頁 |
発行年月 | 2005年3月 |
定価 | 6,050円(税込) |
ISBN | ISBN4-589-02808-5 |
ジャンル | 経済史・経済体制 |
本の説明 |
発展途上国を代表する農業開発プロジェクトであるマレーシアのFELDAを対象に、その事業展開を歴史的に検証。そこから輸出指向型農業開発のもたらす意義と限界を包括的に究明する。 |
目次 |
図表・写真一覧 略語一覧 序 章 課題と分析視角 第1節 問題意識と研究課題 1 マレーシア・FELDA――第三世界農業・農村開発のモデルケース 2 本書のテーマ 第2節 先行研究の到達点と本書の分析視角 1 先行研究の成果と限界 1 開発効果アプローチと社会政策的アプローチ 2 政治経済学アプローチ 2 分析視角の設定――「指揮権」・「アグリビジネス」・「NACs」 1 FELDA入植地の政治経済学――「FELDA―入植者」関係と「指揮権」 2 農業関連部門の包括的分析――「商品連鎖」と「アグリビジネス化」 3 農業関連工業化と途上国開発論――NACs的発展 第3節 本書の構成 第T章 マレーシアにおける輸出指向型農業の発展 ――オイルパーム開発、NACs化とグローバル・パームコネクション 第1節 はじめに 第2節 輸出指向型農業の再構築 1 マレーシア農業の基本構図 1 土地利用と農業生産――輸出指向型農業への圧倒的傾斜 2 一次産業と対外貿易――マレーシア経済を支えてきた農・林産物輸出 2 輸出指向型農業の歴史的推移 1 主力作物の交替――ゴムからオイルパームへ 2 生産主体の構成変化――政府系開発機関の登場 第3節 オイルパーム開発とNACs化 1 オイルパームの拡大過程 1 開発前史 2 オイルパーム・ブームの到来 2パーム油関連工業化の展開 1 パーム油製造の諸段階 2 パーム油産業の発展 3 マレーシア製造業の基幹産業化 3 輸出市場のグローバルな拡大 1 輸出市場の連鎖的拡大 2 グローバル・パームコネクションの形成 第4節 マレーシア・パームと世界市場へのインパクト 1 グローバルに成長する油脂市場 1 植物油脂貿易の拡大 2 南北貿易からグローバル貿易へ 2 パーム油の急成長と世界油脂市場の再編成 1 パーム油の商品特性 2 世界油脂市場の変容と油脂間競争の激化 第5節 おわりに 第U章 FELDAの農業・農村開発戦略 第1節 はじめに 第2節 農村開発政策、国際開発援助とFELDAの登場 1 マレーシアの農村開発政策と土地開発事業の展開 1 農村開発の基幹事業としての土地開発 2 土地開発の推進主体としてのFELDA 2 大規模プロジェクトと世界銀行の開発援助 1 オイルパーム開発援助のグローバル展開 2 世界銀行の対マレーシア融資とFELDA 3 FELDA外部のサポート体制――資金調達構造を中心に 第3節 FELDA型開発戦略の確立 1 世界最大級の土地開発機関の誕生 2 FELDA設立の政治経済的背景 第4節 入植地開発の基本的枠組 1 入植地の開墾・造成と入植者の選抜 2 農業生産の開始と入植者の労働・生活過程 3 契約関係と土地所有権の譲渡 第5節 おわりに 第V章 労働編成と土地所有のダイナミクス――入植地開発の史的展開 第1節 はじめに 第2節 開発方式の基礎確立過程 1 間接的な事業活動とその限界 2 組織運営の再編と直接指導の開始 1 開発の実行機関への移行 2 管理指導型の入植地開発へ 第3節 開発の大規模化とブロック・システム 1 オイルパームの主力作物化と国家の政策的支援 1 オイルパームの拡大と輸出多角化政策 2 「ブミプトラ政策」の担い手としてのFELDA 2 入植地開発の大規模化とブロック・システムの導入 1 大規模地域開発の展開と農村――農村人口移動 2 集団的労働・土地所有方式としてのブロック・システム 第4節 シェア・システムの導入とその波紋 1 工業化・都市化の進展と入植地の変容 1 工業化の拡大と農業の地位低下 2 入植地経営の空洞化と外国人労働者の流入 2 シェア・システムと入植者の抵抗運動 1 シェア・システムの導入とそのねらい 2 入植者の抵抗とシェア・システムの挫折 第5節 入植事業からの撤退とエステート経営の展開 1 企業的組織再編と開拓・入植事業の終焉 2 契約農業から直営エステート経営へ 第6節 おわりに 第W章 アグリビジネス=FELDAの誕生 第1節 はじめに 第2節 農業・農村開発機関からアグリビジネスへ 1 子会社配置と企業化路線――農業関連部門への展開 2 FELDAの合弁事業――ビッグビジネスや多国籍企業との連携 3 アグリビジネス化と農外部門への進出 第3節 FELDAのパーム油ビジネスの全体構造 1 「下流」部門への展開と垂直的統合化 2 商品高度化への新展開 3 多国籍アグリビジネスへの変身 第4節 FELDAのアグリビジネス化のインパクト 1 パーム油産業における商品連鎖構造 2 農園部門――新たな寡占構造の出現 3 搾油段階――農園部門との並行的発展 4 精製・食用油脂部門――オイルパーム産業における再編の舞台 5 オレオケミカル部門――商品高度化と二極分化 6 パーム油産業におけるインテグレーションの形成 第5節 おわりに 第X章 FELDA開発と農民 第1節 はじめに 第2節 入植者へのインパクト――1980年代末までの展開 1 入植者の経済的地位の変化 1 新たな農村エリートの創出 2 世界市場と結びついた所得変動――内包する不安定性と債務問題 3 所得控除の多重構造―入植者の生活難とFELDAの資金回収メカニズム 2 入植者の社会的・政治的地位の変化 1 「上からの」社会開発の「成果」 ――入植者の自立の制限と入植地再生産の弱体化 2 入植者の社会的地位をめぐる攻防 ――アグリビジネスへの包摂とプロレタリア化への抵抗 第3節 入植地外部の農民へのインパクト 第4節 農村開発の空洞化とアグリビジネス化の限界――1990年代以降の展開 1 農業生産構造の変化 ――オイルパーム・モノカルチュア化と開発地域のさらなる外延的拡大 2 FELDA内部での担い手の交替――入植者主体から外国人労働者主体へ 3 アグリビジネス化の反作用――グループ内部における連鎖構造の矛盾 第5節 おわりに 終 章 総括と展望 参考文献一覧 あとがき 事項索引 |