書籍名 | 刑事政策のすすめ〔第2版〕 |
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副題 | 法学的犯罪学 |
著者 |
前野育三・ 前田忠弘・ 松原英世・ 平山真理著 |
判型 | A5判 |
頁数 | 230頁 |
発行年月 | 2007年3月 |
定価 | 2,530円(税込) |
ISBN | ISBN978-4-589-03007-8 |
本の説明 |
犯罪と犯罪対策の本質とは? 社会と犯罪をめぐるさまざまな問題を分析し、コンパクトにまとめた基本書。近年の刑法の重罰化改正をはじめ、06年の「刑事被収容者法」など刑事政策にかかわる重要な法改正をふまえ改訂。 新版が刊行されております この書籍は品切につき入手できません |
目次 |
序文 第1章 法学的犯罪学の課題と方法 1 法学的犯罪学 犯罪学/合理的な犯罪対策学/対策の統制/法への注目/犯罪にか かる社会的コストの最小化 2 社会現象としての犯罪 犯罪は社会的に構築される/法執行における裁量/犯罪は刑事制度 の関数 3 犯罪対策の実施と評価 刑事制度の作動/政策統制と政策評価/政策評価の視点 4 法学的犯罪学の対象 法の形成/法の違反/法の執行/視点としての被害者 5 法学的犯罪学の方法 経験的研究/制度論・組織論的視点/意思決定過程 〔コラム1 主刑と付加刑〕 第2章 犯罪の発生・処理・予防―犯罪への合理的対応― 1 犯罪統計は何を示すものか 賭博と占有離脱物横領/暗数概念の効用と限界/犯罪統計の種類 2 犯罪対応としての刑事司法―警察・検察・裁判所・犯罪者処遇機関― 発覚から処遇の終了まで/成人の通常事件以外なら/統計的考察/ 検察裁量/量刑と執行猶予/行刑と保護観察 3 犯罪学理論と犯罪対応 犯罪学理論の意味/科学的犯罪研究の始まり/統計的法則性の把握 とフランス社会学派/イタリア生物学派/個人的原因研究/精神障 害と犯罪/ヨーロッパの社会学的研究/アメリカの犯罪社会学/ラ ベリング理論/ニュー・クリミノロジー/状況犯罪学/修復的司法 4 犯罪の予防 5 家庭・学校・地域社会 環境と犯罪・非行/家庭の機能変化/被虐待と非行/学校への期待 /地域社会/退廃文化の影響 〔コラム2 学校教育と少年非行〕 第3章 刑罰および類似の制裁 1 刑罰と保安処分・保護処分、刑罰と民事賠償・行政処分 刑罰と類似の制裁/保安処分と保護処分/行政処分や民事的損害賠 償/保安処分の定義、刑罰との異同/保安処分の歴史/日本の保安 処分論/医療的措置への司法機関の関与 2 刑罰の歴史 経済的諸関係と刑罰の種類/文化的要因/国家刑罰出現以前と以後 /封建制度下の刑罰/拘禁刑の出現以前と以後/監獄改良運動とそ の後の行刑/近年における罰金と社会内処遇の増加/私刑と公刑罰 3 死刑 現行法の死刑/日本の死刑執行の現状/死刑廃止国と存置国/死刑 存廃論 4 自由刑 自由刑の意義と沿革/禁錮の地位と単一刑論/短期自由刑・不定期 刑/施設内での教育 5 財産刑 罰金と科料/罰金・科料の運用/罰金の刑事政策的意義/日数罰金 制/労役場留置/交通反則通告制度 6 執行猶予 執行猶予と宣告猶予/執行猶予の日本での運用/執行猶予期間経過 の効果 7 資格制限 意義と沿革/犯罪の記録と前科/公民権停止/運転免許の取消しと 停止 〔コラム3 外国人刑事事件における通訳・翻訳の問題〕 第4章 犯罪者の社会復帰のための処遇 1 犯罪者の社会復帰 犯罪者の処遇と社会復帰/行刑に関する国際的動向/社会復帰行刑 の核心―「日本型行刑」の克服―/社会との連携/犯罪報道の影響 2 施設内処遇と社会内処遇 監獄法から刑事被収容者法へ/刑事施設内の生活と処遇―一般社会 との違い―/刑事施設の衣食住/刑事施設の保健衛生および医療/ 懲罰/受刑者処遇の基本制度―分類処遇制度―/累進処遇制度の廃 止と報奨制度の導入/開放的処遇/刑務作業/外部交通/未決拘禁 者の処遇/社会内処遇の諸形態/警察段階における猶予処分/検察 段階における猶予処分/裁判段階における猶予処分/仮釈放/保護 観察/新たな社会内処遇の方法/司法前ダイバージョン・プログラ ムと更生緊急保護 3 被処遇者の人権と処遇機関の統制 国家と被処遇者の基本関係/被処遇者の法的地位と人権/不服申立 制度の整備と刑事施設視察委員会の設置 〔コラム4 プリズン・ペット・プログラムの意義と効果〕 第5章 犯罪被害者 1 被害者の登場―その歴史的意義― 被害者の扱われ方/被害者の黄金期(第T期)/被害者の衰退期 (第U期)/被害者の復活期(第V期)/被害者学の登場と転換 2 被害者保護へ向けての世界の動き アメリカにおける被害者支援制度/イギリスにおける被害者支援制 度 3 被害者保護へ向けての日本の動き―日本の被害者支援制度― (1)犯罪被害の実情と犯罪被害者等給付金制度 (2)警察段階における被害者支援 被害者対策の芽吹き/被害者対策要綱/警察から被害者への情報提 供 (3)検察段階における被害者支援 被害者等通知制度/通知制度の対象 (4)裁判段階における被害者支援 公開の停止/被告人の退廷/特定傍聴人の退廷/公判期日外、公判 廷外での証人尋問/検察官面前調書の証拠採用 4 被害者保護の躍進と被疑者・被告人の権利 (1)犯罪被害者の権利宣言 (2)刑事手続における被害者への配慮 @刑事訴訟法および検察審査会法の一部を改正する法律 被害者証人の付添い(刑訴157条の2)/被害者証人への遮蔽措置 (刑訴157条の3)/ビデオリンクシステム(刑訴157条の4)/ 性犯罪の告訴期間の撤廃(刑訴235条1項但書1号)/被害者等の 意見陳述(刑訴292条の2) A犯罪被害者の保護をはかるための刑事手続に付随する措置に関する法 律公判手続の傍聴/公判記録の閲覧および謄写/民事上の争いにつ いての刑事訴訟手続における和解 5 被害者保護と少年の成長・発達権、犯罪者の社会復帰の権利 少年法改正/審判記録の閲覧・謄写制度(少5条の2)/審判結果 等の被害者への通知制度(少31条の2)/被害者からの意見聴取制 度(少9条の3) 6 発展する被害者保護政策 7 被害者をめぐるその他の問題 マスコミと被害者/被害者援助の中で弁護士が果たす役割/被害者 とPTSD 〔コラム5 ストーカー犯罪〕 第6章 少年非行および非行少年の手続と処遇 1 少年法の理念と司法福祉 青少年の問題行動と少年非行/少年の成長発達の保障と司法福祉/ 少年法の理念と厳罰化論 2 少年非行の変遷と近年の特徴 戦後少年非行の動向/現代非行の背景と特徴/少年非行の「深刻化」 ・「凶悪化」 3 少年保護手続 少年保護手続の構造/家庭裁判所の少年審判と終局決定/捜査およ び審判の方式と国際準則/事実認定手続の改革と改正少年法 4 保護処分 保護処分選択の基準/保護処分の種類/少年院における処遇/触法 少年の処遇 5 少年に対する刑事処分 刑事処分のための手続と刑罰/少年刑事事件の審理/刑事処分適用 年齢の引下げの問題点/少年刑事事件と量刑/少年に対する死刑適 用の可否 6 児童少年の成長発達権保障と刑事規制 加害と被害の交錯/福祉犯罪/被害少年の刑法的保護/体罰判例の 二潮流/児童生徒の問題行動と体罰容認の社会思潮 〔コラム6 Teen Court〕 第7章 現代社会と犯罪 1 ホワイトカラー犯罪 ホワイトカラー犯罪とは何か/なぜホワイトカラー犯罪か/ホワイ トカラー犯罪の特徴/ホワイトカラー犯罪の対策/安全な社会? 2 コンピュータ犯罪 コンピュータ犯罪とは何か/高度情報化社会/コンピュータ犯罪の 特徴/コンピュータ犯罪の対策 3 暴力団犯罪 暴力団犯罪の特徴/暴力団組織の特徴/暴力団犯罪への対策 4 交通犯罪 交通犯罪の意義と現状/交通犯罪処罰の実際と問題点/交通犯罪者 の処遇 5 性犯罪 性犯罪の意義と種類/性的自由を侵害する犯罪/性表現に関する犯 罪 6 薬物・アルコールと犯罪 薬物犯罪の形態と動向/薬物犯罪の対策/アルコールと犯罪 7 精神障害者と犯罪 精神障害者と犯罪との関係/精神障害のある犯罪者と刑事手続/精 神障害のある犯罪者の処遇 8 児童虐待 児童虐待の定義/児童虐待問題と刑事法の対応/児童虐待の克服と 児童虐待犯罪化 9 ジャンダーと犯罪 ジャンダーフリーと刑事政策/女性犯罪の動向と特徴/ドメスティ ック・バイオレンスとDV防止法 10 高齢社会と犯罪 犯罪者の高齢化現象/高齢犯罪者の処遇/高齢化社会と刑事政策 11 被害者のない犯罪 被害者なき犯罪の概念/わが国における問題状況/新たな犯罪化 12 犯罪の国際化と犯罪対策の国際化 より小さくなる惑星のための刑事政策/日本における外国人犯罪/ 日本人の国外における犯罪と犯罪被害/犯罪人の国外逃亡/逃亡犯 罪人の引渡し/捜査共助/司法共助/国外犯処罰規定の活用/ヨー ロッパの状況 13 国際人権法の発達と刑事政策 国際人権法の誕生/国際人権規約/宣言 14 修復的司法 修復的司法/修復的司法の手続/公式の処分への反映/日本での実 践例 〔コラム7 組織犯罪と組織体犯罪〕 参考文献 事項索引 |