書籍名 | 日本人と裁判 |
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副題 | 歴史の中の庶民と司法 |
著者 |
川嶋四郎著 |
判型 | 四六判 |
頁数 | 240頁 |
発行年月 | 2010年7月 |
定価 | 2,750円(税込) |
ISBN | ISBN978-4-589-03274-4 |
ジャンル | 法哲学・法社会学・法制史 司法制度・裁判実務 |
本の説明 |
歴史や文学に見られる様々なエピソードを紹介しながら、それぞれの時代で司法制度・裁判制度がどのように受け止められ評価されてきたかを考え、現代司法への示唆を与えるおもしろい読みもの。 2022年9月 改訂版刊行予定 |
目次 |
序 章 歴史から裁判のあり方を学ぶ 第1章 「司法アクセス論」の起源としての 「一七条憲法」■聖徳太子の司法への思い 上代の法と裁判/血塗られた時代/「法の支配」 の起源としての「一七条憲法」/「一七条憲法」に 規定されていた「司法へのアクセス」の保障/太 子の基本思想と孤独感 第2章 鎌倉司法における「訴訟遅延」 ■阿仏尼「東の亀の鏡」 阿仏尼の民事訴訟への希求/裁判に向かう阿仏 尼の『十六夜日記』/鎌倉時代の司法制度/北 条時頼の諸国行脚/日本中世の女性像/「細川 の荘」をめぐる裁判の行方 第3章 貸金事件の決着方法としての「徳政」 ■中世乱世に生きる庶民の力 庶民と金銭債務/中世の高利貸し:土倉/「徳 政」と「徳政令」/永仁の徳政令/永仁の徳政令 の評価/「日本開闢以来土民蜂起…」/「天下一 同徳政令」/「徳政」余談/徳政一揆の終焉と下 剋上 第4章 中世における「庶民自治」とその終焉 ■自治的紛争処理に対する庶民の思い 中世庶民の生活/南山城における「コミューン」 の形成/加賀における「コミューン」の形成/惣 村の成立と自治/謙抑的な自力救済観と共生関 係の回復/中世の町の自治/「分国法」による自 力救済の禁止と裁判権の掌握/自力救済禁止の 代償/庶民の「統治主体」化 【補論】甲賀郡中惣 第5章 江戸期の法と司法 ■江戸庶民の思いに見る明治司法の 原点 荻生徂徠の卓見/朝日文左衛門の法感覚/江戸 の裁判:大岡越前と遠山金四郎/徂徠と西鶴の 著作に見る「江戸庶民金融の蟻地獄」/中江藤樹 と熊沢蕃山/「三方一両損」から「四方よし(=司 法よし)」へ 第6章 明治初期の裁判のかたち ■逝きし世の司法の面影と庶民の思い 明治初期の裁判との出会い/ある裁判所の風景 /近代司法制度の形成/裁判制度の産みの苦し み/司法府の最高機関としての大審院の設置/ 現代司法の「内省的視座」を求めて 第7章 「民の司直」への希求 ■江藤新平の日本司法への思い 司法改革の「歳月」/江藤の志/「民の司直」への 悲願/近代的な司法制度確立志向の挫折 第8章 明治期の司法と人材育成 ■福澤諭吉の司法観 「門閥制度は親の敵」/福澤と陪審制/福澤の訴 訟観/福澤と法学教育/「一身独立して一国独 立す」 第9章 「国民の司法離れ」の一起源 ■足尾鉱毒事件における田中正造の 苦渋の選択 「辛酸佳境に入る」/「予は下野の百姓なり」/亡 国の思念/選択肢ではなかった民事訴訟/民衆 の視座から 第10章 「司法権の独立」とその代償 ■大津事件と児島惟謙 事件の勃発/「護法の神」/政府の干渉と児島の 奔走/判決と事件の評価/事件の後 第11章 若い詩人の訴訟イメージ ■宮澤賢治の訴訟観 感性の詩人/小作争議と小作調停法の制定/小 作調停法とその影響/民事訴訟法学者、雉本朗 造の場合/『雨ニモマケズ』と『どんぐりと山 猫』/賢治の訴訟観/孤独な菩薩道 第12章 「平民宰相」の陪審観 ■原敬の国民と司法への思い 「宝積」の精神/分家して、平民になる/原の陪 審観/日本陪審制度の含意/暗殺/陪審制度: 権力に対する国民参加の橋頭堡 終 章 戦後司法改革小史と民事裁判の近未来 展望 戦後の司法改革/戦後における裁判所改革/い わゆる「司法の危機」と呼ばれた現象/『司法制 度改革審議会意見書』に至る道程/『司法制度 改革審議会意見書』とその後/民事訴訟を中核 とした民事紛争解決手続の改革展望 あとがき |