書籍名 | 戦後日本思想と知識人の役割 |
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シリーズ | 同志社大学人文科学研究所研究叢書XLIX |
著者 |
出原政雄編 |
判型 | A5判 |
頁数 | 412頁 |
発行年月 | 2015年1月 |
定価 | 9,350円(税込) |
ISBN | ISBN978-4-589-03650-6 |
ジャンル | 政治学 |
本の説明 |
集団的自衛権容認の閣議決定、特定秘密保護法の制定等で戦後的価値が掘り崩されようとしている。日本の来し方行く末が熱き想いをもって議論された戦後初期の思想動向を改めて振り返る。 |
目次 |
「戦後日本思想と知識人の役割」 目次 序論 戦後日本思想への新たな関心の高まり ――――― 出原政雄 1 「戦後日本思想」研究の系譜 2 本書の視角と構成 3 各章の要約 4 知識人研究の意義 第1部 天皇制・ナショナリズム・アジア 第1章 藤田省三の戦後天皇制論 ――――― 赤澤史朗 1 「風流夢譚」事件と天皇制 2 天皇=不執政の意味 3 大衆意識上の天皇観 4 「大衆天皇制論」への批判 5 象徴天皇制の政治学的検討 第2章 橋川文三のナショナリズム論 ――――― 平野敬和 1 橋川文三と戦後思想 2 「戦中派」知識人の戦争体験論 3 「昭和超国家主義」論 4 竹内好と橋川文三 5 橋川文三論の射程 第3章 竹内好の「アジア」「中国」「日本」 ――――― 萩原 稔 1 竹内好への評価 2 竹内の見た戦前の「中国」―「大東亜」 そして「日本」とのかかわり 3 戦後の「中国」そして「日本」 4 竹内好にとっての「アジア」の意味 5 竹内好と現代 第4章 「対米自主」の思想 ――――― 望月詩史 ―石橋湛山を中心に― 1 石橋湛山の戦後をめぐって 2 「対米自主」の思想は「反米」か 3 「紙の上の独立」から「真の独立」へ 4 「対米自主」の思想の行方 第2部 平和思想・市民主義・社会科学 第5章 矢内原忠雄の戦後平和思想 出原政雄 1 戦前の反戦平和論 2 「平和国家論」の展開と特質 3 相対的平和論と絶対的平和論 4 政治的諸課題への対応 5 宗教的絶対平和主義の相剋 第6章 生活綴方運動と民衆の思想 ――――― 長妻三佐雄 ―鶴見俊輔の東井義雄論を中心に― 1 「生活綴方」に対する関心 2 戦後思想における「生活綴方」 3 「生活」の論理―東井義雄論を手がかりに 4 「表現しえないもの」の存在 第7章 内田義彦における社会認識の「生誕」 ――――― 田中和男 1 課題としての内田義彦 2 内田義彦の思想形成 3 戦時下の内田義彦 4 内田義彦の沈黙と抵抗 5 内田義彦と戦後論壇 第3部 自由主義と変革思想 第8章 多田道太郎の自由主義――――― 根津朝彦 1 自由主義の系譜 2 「解説 日本の自由主義」の論理 3 1960年代の考究 4 自由精神の行方 第9章 「悔恨共同体」の断層 ―長谷川如是閑と中野重治――――― 織田健志 1 敗戦の意味 2 「自由」と「民主主義」の諸相 3 「国内冷戦」のひずみ 4 「日本」への問い 第10章 「戦後思想」における転向論 ――――― 福家崇洋 ―思想の科学研究会・吉本隆明を中心に― 1 なぜ転向論か 2 屈折する「主体」 3 転向論の転回 4 大衆・集団・革命 5 「近代主義」を超えて 6 「浮浪ニヒリズム」の射程 第4部 戦後文学の思想 第11章 出発点としての「政治と文学」論争 ――――― 岩本真一 ―中野重治の「近代の超克」― 1 論争を問う意味 2 論争の経緯 3 平野謙における「人間性」 4 中野重治における「近代の超克」 5 論争の継承 第12章 昭和の記憶と幕末・維新の「物語」 ――――― 竹本知行 ―司馬遼太郎の『花神』を素材として― 1 問題の所在 2 司馬遼太郎における幕末・維新 3 「歴史離れ」の検証と考察 4 「語り部」としての司馬遼太郎 第5部 福祉・ジェンダー・反戦・沖縄 ――――― 池本美和子 第13章 社会連帯思想の戦前・戦後 ―糸賀一雄に見る福祉思想の意義― 1 現代の社会連帯思想 2 フランスの社会連帯主義 3 日本における社会連帯思想の受容 4 戦後の社会福祉・社会保障と社会連帯思想 5 日本を場とした社会連帯思想の可能性へ 第14章 公娼廃止後の廃娼運動 ――――― 林 葉子 ―売春防止法制定過程における女性議員の役割― 1 廃娼運動の新たな担い手としての女性議員 2 売春禁止の法制化を求める女性議員の声 ―『全日本婦人議員大会議事録』(1956年)から 3 売春防止法の制定過程にみる男性批判 ―国会議事録から 第15章 ベトナム反戦から内なるアジアへ ――――― 黒川伊織 ―ベ平連こうべの軌跡― 1 課題・方法・史料 2 ベ平連こうべの結成 3 「市民的権利を奪われている人々」との出会い 4 ベ平連運動の変容 第16章 沖縄独立論の検討 ――――― 櫻澤 誠 ―大宜味朝徳を中心に― 1 沖縄独立論の位置 2 戦前の活動 3 戦後の活動 4 大宜味の特徴 あとがき |