書籍名 | 刑事法を考える |
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著者 |
石塚伸一・ 大山弘・ 渡辺修著 |
判型 | 四六判 |
頁数 | 250頁 |
発行年月 | 2002年7月 |
定価 | 2,420円(税込) |
ISBN | ISBN4-589-02580-9 |
本の説明 |
刑事法の基本的問題点を採り上げ、どんな考え方、解決策があるのか、どの考え方をなぜとるべきなのか、を解説。社会と犯罪をめぐる問題の分析力、市民として納得できる解決策、探求力の養をめざすユニークな入門書。 この書籍は品切につき入手できません |
目次 |
はじめに 第1部 刑罰の世界へ 刑事政策の考え方 第1講 生命刑と自由刑 死刑と無期の分水嶺 1 何が問題か―死刑か?無期か、それが問題だ 2 考え方の対立―死刑は残虐な刑罰か? 3 考える筋道―何を重視するか? 4 問題の発展―応報への回帰? 第2講 自由刑と財産刑 罰金と拘留はどちらが重い? 1 何が問題か―犯罪と刑罰は、きちんと法定されていたか? 2 問題の所在―なぜこのようなことが問題となったのか? 3 考える筋道―構成要件の明確性と刑罰の適正性 4 問題の発展―刑罰の実質的苦痛 第3講 実刑と執行猶予 尊属殺人とドメスティック・バイオレンス 1 何が問題か―なぜ刑法二〇〇条は削除されているのか? 2 考え方の対立―いわゆる尊属殺違憲判決 3 考える筋道―量刑の過程 4 問題の発展―最高裁判決とその影響 第4講 法定刑と宣告刑 犯罪と刑法の偏差値 1 何が問題か―どんな犯罪が重いのか? 2 考えるときの前提知識―刑の内容を整理してみよう 3 考える筋道―刑罰の軽重はどうやって決めるのだろうか? 4 問題の発展―自由の値段 第5講 応報と社会復帰 刑罰の目的と国家の介入 1 何が問題か―なぜ刑罰を科すのか? 2 考え方の対立―刑罰の本質とは? 3者える筋道―侵害原理とパターナリズム 4 問題の発展―自助グループと社会的支援 ≪ブレイク・タイム≫ 犯罪とと刑罰の二つの系譜 第6講 フローチャート刑事司法 T 警察と検察 1 事件の発生―ある少年の殺人事件 2 警察での処理―警察では、どのように取り扱われたのか? 3 身体の拘束―緊急逮捕は憲法違反? 4 検察庁での処理―検察は事件をどう処理したのか? 5 刑事手続における呼称―Xは、何と呼ばれるのだろうか? 第7講 フローチャート刑事司法 U 家裁と地裁 1 家庭裁判所(家裁)の審理はどのようにすすめられるのか? 2 地方裁判所(地裁)では、どのような裁判がなされるのか? 第8講 フローチャート刑事司法 V 矯正と更生保護 1 犯罪や非行を犯した少年は、どのように処遇されるのか? 2 Xさんのこれから 3 まとめ ≪ステップアップ≫ 学習を深めるために(文献案内:刑事学・刑事政策ほか) 第2部 犯罪の世界へ 刑法の考え方 策1講 刑法の解釈 類推解釈はなぜ禁止なのか? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―解釈論と立法論 ≪プレイク・タイム≫ 犯罪論の構造 第2講 因果関係 行為と結果のつながりをどのように評価するのか? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―「因果関係」の客観性 第3講 違法性の実質 被害者が同意したら犯罪にならない? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―安楽死問題 第4講 事実の錯誤 間違って別人を殺したら? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―「抽象的事実の錯誤」の場合 第5講 未遂犯 なぜ未遂は処罰されるのか? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―不能犯の類型 第6講 共謀共同正犯 犯罪を実行しなくても正犯? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―否定説の根拠 第7講 いのちと刑法 胎児に対する傷害行為は傷害罪に当たるか? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―新たな立法措置の必要性 第8講 財産と刑法 「キセル乗車」は詐欺罪か? 1 何が問題か 2 考え方の対立・帰結 3 考える筋道 4 問題の発展―刑法以外による制裁 ≪ステップアップ≫ 学習を深めるために(文献案内:刑法) ≪ブレイク・タイム≫ 不正アクセス禁止法について 第3部 刑事裁判の世界へ 刑事訴訟法の考え方 第1講 令状のない捜索・差押え 「捜査の効率性」と「市民のプライバシー」 1 何が問題か―無令状捜索差押えの限界 2 考え方の対立―令状審査の重視か捜査の迅速性重視か 3 考える筋道―刑訴法における「厳格解釈」 4 問題の発展―違法収集証拠排除法則 第2講 接見交通権 捜査と人権の衝突 1 何が問題か―取調べと接見の対立 2 考え方の対立―捜査の必要をどう解釈するか 3 考える筋道―憲法と被疑者の防御権 4 問題の発展―信書の授受の自由 策3講 被疑者取調べ 「自白中心捜査」と「取調べの適正化」 1 何が問題か―取調べのための出頭・滞留義務 2 考え方の対立―「取調べの必要性」と「えん罪防止」 3 考える筋道―取調べの任意性と出頭・滞留義務の区別 4 問題の発展―取調べの適正化=「可視化」 第4講 訴因の役割 「裁量糺問主義」と「当事者主義」 1 何が問題か―訴因と異なる有罪判決は可能か 2 考え方の対立―効率的な処罰と適正な防御 3 考える筋道―訴因=事実・法律構成併記説 4 問題の発展―訴因の特定 第5講 証拠開示 「効果的な有罪立証の利益」と「捜査資料の総点検の利益」 1 何が問題か―検察官が保管する証拠をみる方法 2 考え方の対立―訴訟指揮権・個別資料開示説と開示請求権・全資料開示説 3 考える筋道―起訴の根拠の点検 4 問題の発展―甲山事件と「迅速な裁判」 第6講 検察官面前調書 「検察捜査」の信頼と「反対尋間」の尊重 1 何が問題か―検面調書の証拠調べ請求 2 考え方の対立―「公訴権の尊重」か「反対尋問権の尊重」か 3 者える筋道―「調書裁判」の克服と「公判中心主義」の確立 4 問題の発展―「伝聞例外の限定解釈」 第7講 裁判と事実認定 自由心証主義と無罪推定原則 1 何が問題か―「合理的疑いを超える証明」の原理 2 考え方の対立―「直感的総合的判断方法」と「分析的段階的判断方法」 3 考える筋道―適正な事実認定と「えん罪」防止 4 問題の発展―「黙秘」と有罪認定 第8講 無罪判決と検察官の控訴 「有罪追求の利益」と「二重の危険防止」 1 問題の所在―無罪判決と検察官控訴 2 考え方の対立―検察官控訴の合憲性 3 考える筋道―「有罪追求の利益」と「二重の危険防止」 4 問題の発展―甲山事件と二度の検察官控訴、「控訴権消耗」論 ≪ステップアップ≫ 学習を深めるために(文献案内:刑事訴訟法) ≪トピックス≫ 甲山事件とは? 第4部 刑事法フロンティア 刑事法の最先端を学ぶ 第1講 少年と刑事法 1 はじめに― 一つの事例から 2 事件の背景 3 アメリカの伝統的犯罪学 4 どんな風に説明できるだろう? 5 大人たちは、何ができたのだろうか? 6 まとめ 第2講 「ビデオリンク」裁判 「被害者の権利」と「被告人の権利」 1 「ついたて裁判」 2 新法の規定 3 「ビデオリンク」立法 4 ビデオリンク法廷傍聴 5 被害者の保護と被告人の権利 6 「被害者の居る法廷」 第3講 犯罪報道 実名報道か匿名報道か 1 問題提起 2 対立する二つの考え方 3 検 討 ≪トピックス≫ 話題の事件を考える 付属池田小学校児童殺傷事件 事項索引 著者・執筆分担紹介 |