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待ったなし!地球温暖化対策
地球温暖化防止にむけた取り組みが活発化しています。先日、政府は京都議定書が課す温暖化ガスの削減目標を達成するため、ハンガリー政府から直接排出権を取得する方針を決めました。京都議定書発効から2年あまりが経ち、最近、目標達成への呼びかけを日々耳にする機会が多くなりました。エコバックの持参、ゴミの分別、「クールビズ」、こまめな節電など、日常生活での試みはかなり定着してきたように思える一方で、個人の努力で削減できる二酸化炭素の量には限界があります。行政や企業など、より大きな枠組みのなかで削減にむけた取り組みをしていくことが求められています。
『地球温暖化対策の最前線』は、温暖化防止をめざす市民、企業、行政の取り組みを、再生可能エネルギーへの構造転換と新しい省エネ技術の活用などを軸に紹介しています。そのなかで特に強調されているのは、自らの創意工夫で主体的に取り組む市民とそれを活かす行政、そして営利だけではない価値を追求する企業との連携の重要性です。それぞれがお互いのよい面を活かし補完しあってやっていくことで、より効果的な温暖化防止の対策がとれます。
本書の終章「地球温暖化対策の展望」では、深刻な状況が進んでいるにもかかわらず、なぜ対策は遅々として進まないのかを「社会的ジレンマ」という面から検証しています。「わかってはいるけど、つい…」「自分ひとりがやらなくても、たいした影響はないだろう…」というような意識が引き起こす事態を明らかにし、その解決にむけた提言をしています。誰でも身に覚えのある指摘だけに、考えさせられることの多い提言です。
地球温暖化の克服へ向けて、私たちに、身近でできることが何かを提起するにとどまらず、いま日本がどのような方向性で取り組もうとしているのか、さらには、今後の課題が何かを知る上で有益な一冊です。ぜひご覧ください。
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