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「グローバル化」の捉え方
いま、起こっている社会現象のなかで、誰もが認めるものの1つにグローバル化現象があります。
◆日常生活にみえるグローバル化現象と問題点
一般的に、グローバル化とは、「人・モノ・カネ・情報」が、国境を超えて自由に移動する状況だと説明されます。そのもとでは、ローカルな出来事が、グローバルに影響をあたえ、また当然その逆の現象も起こります。例えば、サブプライムローンの焦げ付きが、世界の金融市場を揺さぶり、また、原油高騰で物価が上がり、それだけでなく原油高騰で模索が始まった穀物エコ燃料化により食料品等が値上げを余儀なくされたなどは、その端的な例です。
さて、地球規模にわたって想像を超える速さで様々な現象が影響しあうという世界で、私たちが真に問題にすべきは、以下のような出来事です。
- 地球温暖化、生物の多様性と生態系の破壊、水枯渇(共有の問題)
- 貧困、紛争の防止、グローバルな伝染病(生存の問題)
- 核拡散、有毒廃棄物、知的所有権、遺伝子研究のルール、貿易・金融・課税のルール (規制の問題)
(『グローバル化理論の視座』83頁参照)
◆問題解決のために−『グローバル化理論の視座』から
いまこれらの問題群を解決するために、従来の政治的価値が問い直しをせまられると同時に、国内的・国際的な新たなガヴァナンス・システムの構築が求められています。
9月に刊行した『グローバル化理論の視座』は、これらの課題を克服するための理論的・実証的な視座や題材の提示を試みています。
本書のねらいは、「グローバル化をめぐるプロブレマティックを提示し、その解明を期すとともに、グローバル化時代の民主的パースペクティブを展望」することであり、本書は「グローバル化理論の、ひとつの試みである」(「あとがき」より)。
◆本書刊行とグローバル化
ところで、本書は、日本語版を原書として刊行しています。編者である中谷義和氏の呼びかけにより、D.ヘルドやB.ジェソップ等、世界的に著名なグローバル化論者が、それに応えて実現したものです。こうした本の刊行は、初めての試みです。ある意味で、本書の刊行自体がグローバル化現象の流れのなかにあると言えます。
◆関連本の紹介
最後に、本書に関連する著作を以下紹介します。
いずれも、グローバル化現象のもとでの新たなガヴァナンス・システムの構築をめざすための理論的な著作となります。詳細は、各書籍の紹介をご覧下さい。
- デヴィッド・ヘルド編(中谷義和監訳)『グローバル化とは何か』
- D.ヘルド /M.K.アーキブージ編(中谷義和監訳)
『グローバル化をどうとらえるか』 - 川村暁雄著『グローバル民主主義の地平』
- 杉浦功一著『国際連合と民主化』
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